このアプリケーションノートは、REWによるカーオーディオチューニングに関するシリーズの一部です。
最初に、カーオーディオ概要をお読みになり、その後でこのアプリケーションノートをご覧ください。
ここでは、測定したマイク信号のデータをコンピュータに取り込む方法について説明します。二つのアプローチがあります。
クローズド・ループ測定では、信号の生成と解析がワンステップで行われます。
REWは、デフォルトではクローズド・ループ測定です。REWによって生成された信号は、テスト対象のデバイスを通過し、REWのアナライザーに直接入力されます。
ただし、車室内測定では、状況によってはクローズド・ループ測定が不可能な場合があります。
オープン・ループ測定では、信号の生成、記録、分析が別々のステップで行われます。
REWの出力信号を自動車のオーディオシステムのヘッドユニットに接続できない場合には、オープン・ループ測定が必要です。
現在、主なカーオーディオのインフォテインメント・システムは、CarPlay、USB、Bluetooth 入力のみをサポートしています (2022 年現在)。したがって、REWからこれらのシステムに対してテスト信号を入力するのは困難です。
その場合は、REWのジェネレーターの出力信号をファイル化し、USB ドライブに保存してインフォテインメント・システムで再生します。
次に、マイクで測定した信号をDAW等で記録し、その後REWで読み込み、周波数分析などを行います。
REWは、通常はクローズド・ループ測定ですが、オープン・ループ測定もサポートしています。
以下に、REWでオープン・ループ測定を行う手順を説明します。
スイープ信号を用いる場合
REWの各軸のスケーリング(解像度)は、チューニング時によく確認することをお勧めします。
車室内の音響測定では、縦軸は5 dBのスケーリングが適切な尺度で、それを基準にズームしていきましょう。周波数軸については、右下にある「20 … 20000 Hz」周波数ズームプリセットを使用することをお勧めします。
ズームプリセットは REWのPreferences >View >Freq axis presetで変更できます。
車室内の測定結果は、驚くような周波数特性を示すことがあります。EQ帯域の中心周波数を見つけやすくし、チューニングの意思決定を容易にするために、分析の標準解像度を1/24オクターブにすることをお勧めします(Preferences > Analysis > Frequency Response Calculation)。
チューニング周波数を決定するために、周波数軸は異なるスムージングで観察しましょう。
チューニングに慣れていない場合は、1/6オクターブのスムージングから始め、結果の理解に慣れてきたら1/12オクターブ、1/24オクターブと徐々に解像度を細かくしていくことをお勧めします。
RTA分析を行う際は、常に最初に刺激となるピンクノイズ信号を分析し(REWにドラッグアンドドロップでインポート)、その結果を、後で測定結果と比較するために保管しておくことをお勧めします。