スピーカーを設計する場合、スピーカードライバー(以下ドライバー)間の正しいタイムアライメントが必要です。
ここでは、UMIK-1またはUMIK-2とRoom EQ Wizard(REW)を使って、ドライバー間の音響的な時間遅延を測定する方法について説明します。
この測定結果をもとに、miniDSPプラグインでタイムディレイを設定し、ドライバーをタイムアライメントさせることができます。
ここでは、REWの使い方はご存知であることを前提としています。
注意:ここで説明する方法は、あらかじめパラメトリックEQやFIRフィルターを使って各ドライバーの応答をフラットにし、再生帯域でレベルが等しくなるように調整済みであることを前提としています。
ドライバー間の音響遅延を測定する場合、下図赤✕印のマイクロホンのようにトゥイーターの高さにマイクロホンを置くと、誤った測定値になります。
マイクロホンは2つのドライバーの中間に垂直に置くか、リスニングポジションに置いてください。
REWでは、Impulseボタンをクリックすることで、ドライバーのインパルス応答(周波数ではなく時間での応答)を観察することができます。それは次のようなものです。
下図は、あるスピーカーのトゥイーターとミッドレンジドライバー間のインパルス応答を測定したグラフです。
インパルスを分離するために、miniDSPプラグインを使用してミッドレンジドライバーに1ミリ秒の遅延を適用しました。
ここでは2つのインパルスをはっきりと見ることができます。最初にトゥイーター、1ミリ秒ちょっと後にミッドレンジです。
グラフ上にカーソルを置くと、各インパルスのピークの時刻を読み取ることができます。ドライバー間の音響遅延は、miniDSPプラグインで、ミッドレンジドライバーに追加した1msを差し引いた値になります。
1.148 – 0.082 – 1.0 = 0.066 ms
この測定方法は以下の通りです。
この測定方法は以下の通りです。
3ウェイ・スピーカーを作る場合、ウーファーとミッドレンジ間の遅延を測定する必要があります。下図は、ミッドレンジドライバーに対するウーファーの音響的な遅延を計算するために使用したインパルス応答の測定結果です。
先ほどと同様に、音響遅延はピーク間の差から、プラグインでウーファーに追加された1msを差し引いたものです。
1.259 – 0.038 – 1.0 = 0.221 ms
この測定方法は以下の通りです。
必要であれば、位相キャンセルチェックを実行することもできますが、部屋の反射があるため、より厄介です。しかし、クロスオーバー周波数での波長が比較的長いので、時間遅れを正確に把握することはそれほど重要ではありません。
もし試すのであれば、先程のように、Right Windowの値を操作してノッチが得られるかどうか確認してみてください。
典型的なケースとして、トゥイーターの時間遅延が最も短く、次にミッドレンジ、最後にウーファーがあると仮定します。
正確な値を設定できない場合がありますので、利用可能な最も近い値に設定してください。以下は、例のスピーカーの出力画面です。
(プラグインによって、小数点以下が3桁表示されるものと、2桁表示されるものがあります)
クロスオーバーの設定が適正で、すべての設定(PEQ、Xover、Delay、Level)が両チャンネルで同じであることを確認します。
マトリクスミキサーを通常の状態に戻します。
各スピーカーでフルレンジ測定を行い、すべてが期待通りに動作していることを確認します。
すべてがうまくいったら、腰を下ろして曲を再生してみましょう!